七基の日記

特別支援学級出身・地方国立大学生の日記

喜多川泰さんのスタートラインを読んだ

こんにちは、七基です。

皆さんは読書とかしますか?ちなみに私は余り…

はい、という訳で今回は喜多川泰さんのスタートラインという小説を読みました。読んでみた印象ですが、伏線回収が凄いという硬派な物語というよりも、迷いを抱える青少年に対して筆者が小説という媒体を通じてメッセージを送る自己啓発的な色合いが強い印象でした。

また、私の大好物な青少年の未熟さ故の恋愛という要素も織り交じっており、作中でも好きな子の前では格好を付けたい、理想の人を口にすればそれに合わせるように行動を改めようとするなど、自分もそんな風に背伸びをした経験があるなぁと今になって考えてみると、それすらも懐かしく思えて年月の流れを感じます。

さて、肝心の内容についてなのですが、18歳と22歳の主人公の男の子と転校生の女の子との視点を交差する形でストーリーが展開していきます。そして、将来について苦悩を抱えているという点では2人とも共通しているように思いました。

私も小さな頃の将来の夢は何だったかなと振り返って考えてみると、夢の無い子どもだったなとは思います。大半の人はプロ野球選手、パティシエ、最近ではYoutuberなど明確な職業がイメージできていると思います。ただ、この作品では夢についての考え方で、それは明確な職業ではなく、何をしたいかが重要で職業というのは夢を実現するための手段でしかないのだという表現がありました。

例えるとすれば、人を助けたいな、という思いを抱えて医者になることを志したとして、その夢を果たすためには医者というのは手段の一つであって、他にも製薬会社で新薬の開発を目指すとか、カウンセラーとして人の心に寄り添うとか、色々なことがあるわけです。とにかく、何かをしたいと思ったとしてそれは一つの明確な職業には留まらないのだということですね。

それではどうして、私たちは将来どうしたいかについて悩むのでしょうね。そのことにも言及がありました。私たちは小学校に入って直ぐの頃は初めての経験にワクワクしてどんなことにでも全力で取り組もうとしていましたよね。ただそれが学年が上がっていくにつれて、中学校に入学することには苦手な科目に対しての関心を失い、それなりできれば良いやと手を抜くようになる。受験の時期になると必要の無い科目は全くしなくなるし、ワクワクするということとはかけ離れてしまう。

物事への取り組みに対してでなく、小さい頃は夢を持てと言われて、それなりに大きくなると現実を見ろと言われ、安定とされる道を進められる。周りの大人や同期の友人、大半の人がそう変わっていくのだ。

小説を読んで私に一番刺さったのが、目標というのは全力で物事に取り組んでいる内に自然と見つかっていくのだろうということだ。思えば、ここ最近何かに対して全力になるということはほとんど無くなったように思う。一度、講義を受ければこれは何の役に立つのだろうなということを考えてしまうし、つまらないと自分が勝手に判断付ければ、小まめに参加している講義であってもどこか上の空。やらない理由、できない理由を探して挑戦しなくなって、そんな体たらくで夢が無い事に勝手に苦しんでいる。

進むことには勇気がいるが止まればそこで一生停滞したままなのだろう。大した目的も無く上っ面を取り繕って、条件だけを考えて適当に就職し、心のどっかに空虚を抱えて生きていく事になる。自分は高校時代から精神的にほとんど成長していないどころか、孤立気味になったことで少し弱くなったようにも思う。社会にあと2年で出ていく事になる私は、できるだけ早く自分の「スタートライン」を踏み出して、自分を見つけていかなければならないのだろうと思った。

欲を言えば高校生の内に読みたかった。そう思わせてくれるような面白い作品でした。ぜひ、興味を持ってくれた方(特に高校生)がいれば、是非読んでください!

それでは、また!